私は医療従事者で、感染症を専門にしているためこの内容について書こうと思いながらまあ全然関係ない内容をずっと書き続けてきました。

今年の冬は、インフルエンザが例年にないくらい流行しています(いました?)。

ですので、皆さんでも実践できるインフルエンザ対策が何なのか、感染した時にはどうしたら良いのかなどについて書きたいと思います。

2024−2025のインフルエンザの流行状況

インフルエンザが流行している!とテレビなどで報道されていますが、一体何のデータをもとにしているかというと日本にはインフルエンザ定点医療機関というのがあり、そこの要は病院が一週間に何人くらいインフルエンザの患者がいたかという数を国や県に報告しています。

このデータをもとに、県や国はインフルエンザの流行状況を発表しています。

多くが定点報告数という形であり、これは1つの病院で1週間あたり何人インフルエンザ患者がいたかという数になります。

例えば定点報告数が50を超えました、という情報であれば、ある町の1つの病院で1週間に受診した患者のうち50人がインフルエンザでした、という意味です。

その前の週は35人だったので、前週に比較して15人も増えました、ということになります。

私の居住地域では、すでに2024年の12月の時点で定点報告数が50を超えているため、かなりの流行状況になっていることがわかります。

インフルエンザ予防策は?

残念ながら、どの感染症もそうですが100%感染を予防する方法はありません。

ただし、少しでも確率を下げる対策はあります。

  • 流行時期の前にワクチンを接種しておく
  • 電車やバスの混み合う時、職場などではできるだけサージカルマスクを着用しておく
  • 家族に風邪症状がある場合は、早めにマスクを双方に着用し早期検査を実施

私もそうですが、家族が感染するといつも寝食を共にしているため感染することが多いです。

ただし、インフルエンザは「飛沫感染」であるため、主な感染経路の「飛沫」が自分の目や鼻、口に入ることを極力避けることで感染を予防することができます。

ワクチンは、インフルエンザの場合は「不活化ワクチン」と呼ばれるもので、ウイルスなどを薬剤で不活化したものになります。

これを実際に感染する前に皮下に注射することにより、あらかじめ体内に抗体を準備しておき、いざ感染した時に速やかに抗体産生できるようにするためのものです。

残念ながら感染予防効果はあまり高くなく、50%あるかないかぐらいであったと思いますが、それでも打たないよりはマシです。

冬季は空気が乾燥するため、埃なども舞いやすくなるため、不特定多数の人が多くひしめき合う場所に行く場合には、念のためサージカルマスクを着用することをお勧めします。

屋外の場合は、基本的には不要だと思います。(換気の状態が非常に良いため)

サージカルマスクとは?

文中にも出てきた「サージカルマスク」とは、病院などで手術中に使用する目的で作られた医療用のマスクになります。

一時期、コロナの初期の時には大変品薄になり、高価になりましたが現在は問題ありません。

50枚で500〜1000円くらいでドラッグストアなどで販売されており、フィルタリング効果が高くかつ使い捨てることができます。

これをきちんと鼻や口を覆う形で装着すれば、かなり感染する確率を下げることができます。


「マスクをつけていたけど感染した」と言う方は、話をするときに顎マスクになっていたり、つけてはいるけどいつも鼻が出ていたりします。

個人の経験談というのは、かなり限定的な結果で、かつ検証もされていないため当てにならない場合が多いです。

治療薬はいるのか?

「え、インフルエンザに感染したのに薬はいらないの?」と思われるかもしれませんが、こんなに感染したら薬をもらっているのは日本ぐらいのようです。

抗インフルエンザ薬のタミフルなどは、ウイルスが細胞内に取り込まれたり、細胞内で増えて放出されるのを止める効果があるようですが、解熱までの期間を1日早くするくらいの効果なので、基本的にはなくても十分治ります。

高齢者であったり、何かすでに病気をされていたり、小さい子供の場合には合併症のリスクを考え早期に受診、こうインフルエンザ薬の投与が推奨されます。

それ以外の場合は、基本的には不要でしょう。

ただし、私もそうですが高熱が続くと非常に辛いです。

ですので、解熱鎮痛剤も利用しながら自然と熱が下がってくるのを待つのが良いでしょう。

カロナールは効きが柔らかい感じですが、解熱鎮痛効果はそれほど高くありません。

インフルエンザの隔離期間は?

インフルエンザと診断された方、もしくは多分インフルエンザだと思われる方は、「発症後5日かつ解熱後2日(乳幼児の場合は3日)」登校を控えることが学校保健法で述べられています。

インフルエンザ+とわかった日ではなく、発症(熱が出た、喉が痛くなったなど)した日を起算日とするところがポイントです。

この期間を守らないと、ウイルスを口や鼻から排出している状態で学校に投稿し、クラスの中でウイルスを会話などでばら撒いてきてしまうことになります。

会社などでは、その場所の就業規則などに従うことになると思いますが、原則上記の考え方で職場に持ち込まないよう工夫をした方が良いと考えられます。

またウイルス排泄期間には、もちろん個人差がありますので、その後もしばらくはサージカルマスクを着用する方が無難でしょう。

インフルエンザなんて、感染しても問題ない!?

いいえ、問題あります。

やはり高齢者などは、ただでさえ体の調子が良くないのにそこにインフルエンザ感染が起こると命に関わります。

また乳幼児もある一定確率で「脳症」を起こして入院したり、場合によっては後遺症を残すことがあります。

これは大きな病院で働いていないと、経験することがないため医療従事者でも知らない人も多いでしょう。

ウイルス感染症は、すべての人に感染しても大丈夫とは言えません。

ワクチンの副作用による被害よりも、実際に感染する方が合併症の確率は格段に高くなります。

まとめ

インフルエンザは2024−2025シーズンは、過去にないくらい流行しています。

できるだけ感染しないようにするポイントは、「ワクチン接種」「サージカルマスクの着用」「隔離期間を守る」です。

一人一人の自覚ある行動が、周囲への感染リスクを減らすことにも繋がります。

本日もここまでお読みいただき、ありがとうございました😃